大学職員のフレックス勤務の実態:制度の概要と今後の課題
1. はじめに
近年、大学職員の働き方改革が進む中で、フレックスタイム制度(以下、フレックス制度)を導入する大学が増えてきました。従来の「決まった時間に出勤・退勤する」という固定的な勤務形態から脱却し、個々のライフスタイルや業務内容に応じた柔軟な働き方を可能にする制度として期待されています。
私自身、現在勤務している大学ではフルフレックス制度のもとで働いています。つまり、コアタイムなしの完全なフレックスタイム制で、自分の裁量で始業・終業時間を決めることができます。しかし、実際のところフレックス制度を導入していても、運用面ではフルタイム勤務と大きく変わらない部分が多いのが現状です。
本記事では、大学職員におけるフレックス制度の概要と、そのメリット・課題について詳しく解説します。
2. フレックスタイム制度とは?
2-1. フレックス制度の基本的な仕組み
フレックスタイム制度とは、1日の労働時間を一定の範囲内で自由に設定できる働き方を指します。多くの企業や大学では、次の2種類のフレックス制度が導入されています。
- コアタイムありフレックス:一定の時間帯(例:10:00~15:00)は勤務が必須で、それ以外の時間は自由に調整可能。
- フルフレックス:コアタイムがなく、始業・終業時間を完全に自己裁量で決められる。
私の大学ではフルフレックス制度が採用されており、極端な話、朝5時に勤務を開始して14時に退勤することも可能です。
2-2. 大学におけるフレックス制度の導入状況
大学全体として、フレックス制度の導入はまだまだ進んでいるとは言えません。導入を検討している大学は増えているものの、実際に制度を取り入れても、十分に活用されていないのが現状です。
多くの大学では、制度としては存在するものの、
- 実際にはほとんどの職員が固定時間勤務を続けている
- 業務の性質上、フレックスを活用しにくい部署が多い
- 管理職側の理解不足により、制度が形骸化している
といった課題が残っており、実際に柔軟な働き方が実現できているとは言い難い状況です。
3. フレックス勤務の実態:実際に働いてみて
3-1. 実際にはフルタイム勤務と大差ない
フルフレックス制度を利用できるとはいえ、実際にはフルタイム勤務とほぼ変わらないのが現状です。
なぜなら、業務の性質上、一定の時間帯に対応が求められることが多いためです。
- 学生対応や教員からの問い合わせ対応
- 会議や研修のスケジュールが固定されている
- 他部署との連携業務が多く、勤務時間を完全に自由にするのが難しい
特に大学職員は、学内のさまざまな関係者と連携しながら業務を進める必要があるため、完全な裁量労働は難しいのが実情です。
3-2. フレックスの恩恵を感じる場面
一方で、フレックス制度には確かに便利な面もあります。
例えば、子どもが急に体調を崩した場合や、役所で手続きをする必要がある場合、従来ならば「時間休(年次有給休暇の一部を利用)」を取得しなければなりませんでした。しかし、フレックス制度があれば、
- 朝の出勤時間を遅らせる(例:10時出勤にする)
- 夕方の勤務を延長する(例:18時まで働く)
といった調整が可能になります。
このように、「ちょっとした用事のために休暇を取る必要がない」というのは、大きなメリットだと感じています。
4. フレックス制度の課題と今後の展望
4-1. 大学文化としての定着が不十分
現在のところ、大学におけるフレックス制度はまだ十分に定着しているとは言えません。
特に、大学は伝統的に「決められた時間に職員が出勤している」ことが前提の文化が根強く、
- 上司や同僚から「なんとなくフレックスを使いづらい」雰囲気がある
- 教員や学生から「○○さんがいつもいない」と思われる懸念
- 部署ごとにフレックス利用の度合いが違い、統一感がない
といった課題が残っています。
4-2. フレックスを活用しやすい環境づくりが必要
フレックス制度をより効果的に活用するためには、制度を形だけでなく、実際に使いやすくするための環境整備が求められます。
- フレックス利用の事例を学内で共有し、文化を根付かせる
- 教員や学生にもフレックス制度を周知し、「職員がいつもいるとは限らない」環境を作る
- 部署ごとの格差をなくし、全職員が公平に利用できるようにする
5. まとめ
今後、大学としてフレックス制度を本当に活用できる環境を整え、文化として定着させることが重要です。制度があるだけでなく、それが適切に運用されるよう期待したいところです。
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